それでも厳しさを持って正しい道に導いてくださった恩師には感謝しかありません。
大学でもラグビーは続けようと思っていたのですが、三年間も勉強をサボっていたので当然合格できるような大学もなく、ラグビー推薦ももちろんひっかからず…なんとなくみんな進学するんだから、僕もその流れに乗っておこうと予備校に入り浪人生活を始めました。
自分なりに一生懸命勉強したつもりでしたが、苦手な科目を最後まで克服できず、志望校には合格できませんでした。
他の大学に合格したものの、第一志望ではなかったため辞めてしまい、ご縁のあったチームで草ラグビーをしながら、他にやりたいことも特にないまま非正規の仕事をダラダラとしていました。
ちゃんと大学に進学した友人は次々と職に就き給料をもらい、車を買ったり会社仲間と旅行に行ったりと充実した生活で、完全に差がついたことを今でもハッキリと憶えています。
当時、僕は医療機器やサプリメントの会社で営業のお仕事をしていました。
社内では営業成績も良くて給料もそこそこいただいていました。
人間関係もうまくやっていましたが、なぜか達成感があまり感じられずにいました。いつもどこか虚無感があり「いつまでこの仕事するんやろ?」と思いながらなんとなく仕事をしていました。
そんな折、僕がたまたま派遣されたのが大阪市内の整骨院でした。
そこのオーナー先生に気に入ってもらい 「もしやりたいことがなくて、今の仕事をやっているのなら、ウチで働かないか?」と誘っていただき全くの未経験でしたが、流されるまま整骨院業界転職したのが23歳でした。
最初は体重計を手の親指だけで押して、自分の体重と同じ数字になるまで繰り返すという独特の訓練法が毎日8時間
ほど続きました。痛くて痛くて毎晩冷やして寝ていました。
特訓といわれ診療が終わった後はオーナー直々に指導してくださり、深夜になることもありました。
院で寝泊まりさせてもらった日もありました。そんな生活が1ケ月つづいたころ、あまりの指の痛さに受診した先でレントゲン撮影をしてもらった結果…疲労骨折していました…。
しかし、未経験の僕に休んでいるヒマはありません。
ガッツでカバーするしかありませんでした。
骨が折れている間は、院への送迎車両の運転や掃除など、できることはすべてやらせてもらいました。
さらに骨や筋肉といった解剖学の勉強、鍼灸で使う経穴の勉強から、お灸、鍼と実践的な技術をどんどん練習をさせてもらえて、しんどかったですが楽しく治療家としての基礎を身に着けることができました。
正直、当時は専門学校に通っていた人より院内のテストの点数も良く、患者さんからの評価も良かったので、ようやくやりたい仕事に出会えたかもと嬉しかったのを憶えています。
未経験の一年目でこれだけ喜んでもらえるなら、来年はもっと凄くなって、さらに開院したら、間違いなく勝てるとすら感じていました。
そんな時に通学しながら働かれていた方々が国家試験に合格された途端
形勢は一気に逆転…
学校で勉強しながら治療も学ばれていた先生の説明や技術は、本当にかっこよくて、患者さんは信頼を寄せておられました。
資格に裏打ちされた知識と技術の差に愕然としました。
働き始めでそのレベルの差に気が付くことすらできないほどの無知でした。当時の自分は今振り返っても恥ずかしいです…
やはりこの業界でやっていくには国家資格がないとスタートラインにすら立てないことを痛感し、専門学校に通うべく鍼灸整骨院を退職し自宅近くの整形外科に転職しました。
ここでは手技よりもドクターから解剖学、医療用語、問診、診断、レントゲンや手術、注射、薬など西洋医学についての知識と、そしてなによりドクターの人となりを学び、医療人としての礎を築けたように思います。
しかし通勤時間は10分程度になったものの、バイト程度の時給しか出ません。
この時、結婚してこどもも二人いましたので、給料が安くなってしまった分はなんとか補わないといけません…。
朝4時半には自転車で家を出て、5時から8時まで運送会社で仕分けのバイト。
また移動して8時30分から整形外科にてリハビリのお仕事。直接、患者さんに触れさせてもらいながら、12時には急いで抜けさせてもらって自転車を8㎞こぎながらおにぎりを食べて、電車に乗り換えて専門学校へ。
終わったら戻ってきて整形外科で19時まで働き、そこから今度は往診マッサージに行き帰宅は21時過ぎ…
そこから深夜まで専門学校の勉強をするというトリプルワーク生活を三年間頑張りました。
(その間、妻も働きながら保育園の送り迎え、炊事、洗濯と本当によく頑張ってくれました…)
今、思い出してみてもこの頃の生活は二度としたくないくらいしんどかったです…。
しかしながら、家族も協力してくれたこともあり、なんとか踏ん張ることができ成績はトップをキープ。その当時の成績は卒業時に西日本接骨学会から表彰もされました。
29歳のときに、スポーツ中のアクシデントにより顔面を2ケ所骨折。
仕事も学校も休まないといけないうえに、大切な国家試験も迫ってきている状況でピンチに襲われました。
その際に数名のドクターに相談させてもらいました。
その中で「手術なしで、学校通いながらでも大丈夫だよ」と言ってくださったのは、修業時代に勤めていた整形外科の医師でした。
その一言で不安痛みも解消されたのを今でもハッキリと憶えています。
実際に言われる通りにして骨折部位もキレイに治り、結果として仕事も休まず国家試験も無事に合格することができました。
本当にありがたかったです。
ケガや痛みによる困りごとは、痛みや動かしにくさだけではなく、
本当の困りごとは、できていたことができなくなること。
その損失の大きさを身をもって知り、またそれを解決した時の喜びの大きさも同時に知りました。
この仕事で生きていくと決定づける出来事でした
2011年、お世話になった先生のような素敵な院を作るんだと意気揚々と開院しました。
しかし、かつて目にしていた楽しくお話して、笑顔で「ありがとうございました」と言って帰られる患者様の姿が当院にはなく、保険のルールに縛られて時間内で患者様に機械を使ってもらい、ただ院内で人を回しているだけでした…
「違う…国家資格も取ったのに思ってたのと違う…。こんなことがしたくて開院した訳じゃない!」
とあまりの差に落ち込み悩みました。
このままでは作りたい院には絶対にたどり着けないと気が付いたので、保険に依存した形をやめることを決心しました。
保険治療の理不尽なルールにとらわれずに、目の前の患者さんにとって最高の治療を提案して、笑顔でありがとうございましたと言って帰ってもらえるような院に通リ変える事になりました。
2014年より自費での治療を始めました。
肩こりや腰痛などの慢性的な痛みは、高度な治療技術が必要になります。
できるかぎり来ていただく方のお力になりたいと、治療の勉強もいちから始めました。
「そんなことも知らなかったのか…」と恥ずかしい想いもたくさんしましたが、学んでいくと、少しずつ目の前の患者さんのお役に立てることも増えていきました。
ありがたいことに、これまでにたくさんの方にお越しいただき、現在では市外からの患者さんもお越しくださっています。
今もまだまだ勉強中ではありますが「無事に試合に出ることができました」「諦めていた趣味を再開できました」「腰が痛くないから仕事の効率がよくなった」「自分に余裕ができたので、こどもにも優しく接することができます」といった、たくさんのお喜びの声もいただけるようになってきました。
当院のことを知らない方や遠方の方に、正しい知識や情報を知ってもらうために、地域の小学校で姿勢改善体操を導入してもらったり、体幹トレーニング教室なども開催しています。
またSNSやブログ、動画を通じて全国の方に情報を発信したりする活動も行っています。
今では、当院のSNSやブログ、動画を見た方からメールや患者さんからのLINEやSNSで日々感謝のお言葉を少しずついただけるようになり、お役に立てる喜びを少しずつ実感しています。
これからも当院の情報発信で、みなさまが「動けるカラダ」で好きなことを続けられるように全力でサポートしていきたいと思います。
これは僕を医療人としてやさしく導いてくださった恩人であるドクターの言葉です。
勤めていた4年あまりの間、指示をいただくたびに「やさしく」と口うるさく言われました。
普段は寡黙な先生がポロっとその内容を話してくださったことを未だに憶えています。
”医療の根本って、ひとにやさしくする事やと思ってるの。
お悩みを抱えてこられている方は、他人には考えもできないような不安やストレスを持ってはるんよ。
それを解決するために、さまざまな方法があるけれど、まずは自分が幸せであって、余裕がないとさ、他の人にいい施しなんてできるはずがないのよ。
患者さんと接したら医師とか受付けとか看護師さんと関係ないから。普段からアンテナを立てて知識を入れておくの。
同時に自分の身体を鍛えて、栄養を蓄えて準備をしておくの。
そういうことを積み重ねてはじめて、人にやさしくできるのよ。”
と言われサラっと実践されていた先生の姿は、今でも最高のお手本であり、目標です。
当院のコンセプトである「動けるカラダ」には、患者さんが動けるようになることで、その方の周りにいる人にもやさしく接して、一人でも多くの方がやさしい環境で過ごして欲しいという願いが込められています。
柔道整復師
治療の質を均一にし
感染症予防対策をとるために
1日に診させていただく人数を
制限しております
ご通院される方みなさんが
気持ちよく最高の環境で
治療を受けていただくために
ご理解の上ご協力ください
はぎの台整骨院
柔道整復師 松本一郎
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